サイトへ戻る

分断と社会

· Online-laboratory

分断と社会

 

 新型コロナ感染症の拡大がもたらしている社会の変容は著しいものです。本日の研究会でも、様々な観点から社会の課題を議論してきました。研究会での4人の議論からヒントを得て、佐藤が一部の考察を追記しています。

 

 新型コロナ感染症対策として、世界中の経済活動が停止されました。経済の流れをも停止を余儀なくさえることで、労働で所得を得ていた企業や個人は大きな打撃を受けています。持続化給付金や家賃支援給付金などの政府の対応はあるが、このたびの感染症対策による消費の激減は、大幅な収入減をもたらし、一時的な対処では十分に社会の経済活動を支えられるものに設計されていないと考えられます。

 近年の世界経済は新自由主義のもと、低賃金で最大の労働力を得るべく国境を越えて外国で生産をし、また人間の仕事を可能な限り機械に置き換える方法で成長してきたものと思われます。たとえば日本社会における非正規雇用の人々は、働き方改革で掲げられた「同一労働同一賃金」により待遇の是正が一部図られつつも、企業の存続危機に際する雇用の調整弁となっているのが実態であり、最近でも多くの企業で解雇や採用見送りの対応がなされました。そのような不条理は世界中で噴出している社会の課題です。たとえば報道でも大きく取り上げられているように米国では人種差別問題が根底にあり、新型コロナ感染症の拡大がきっかけとなり、貧困の加速や不十分な医療を受けられないことへの不満となって表出しています。このように社会が経済的危機にある時、平時には眠っている深い社会の問題が表面化してくるものです。

こうした現状の主なものを確認し、〈分断〉を鍵概念とし社会の課題を考えていきました。企業などとの契約や立場の違いから生まれる分断。奴隷制の歴史が白色人種と黒色人種の人に横たわる分断つくっていると思います。そうした不遇な環境に対して人々の怒りを、一方的な正義を掲げて力で抑えようとする政治の一面も現れています。

 そして、〈分断〉の課題を乗り越えるには、どうすべきか。

 〈多様性の受容〉がこれからの社会にはいっそうに求められるのではないでしょうか。

コミュニティは、広義では国家をも含む概念となり、そして小さなゲゼルシャフトとゲマインシャフトが多数存在し、それら複数によって多層的に成り立つ社会が望ましいという考え方があります。これらコミュニティの形成と多様性の受容は親和し、少し先の将来の地域社会像に役立てるのではないでしょうか。

 

 さらに検討を進めたいところですが、今回はここまでです。

 次回にも〈分断〉と〈多様性の受容〉について、考えていこうと思います。